サーモンと一口に言っても様々な名称が飛び交っており、正確にどの魚(種類)を指しているのか悩むことはありませんか?
また、食中毒や営業停止などの報道に接すると、食の安全性は最も気になるところです。
そこで今回は、サーモンのおさらいと共に、ウクライナ情勢により入手自体が激減しているノルディック・サーモンについて詳しくご紹介していきます。
① そもそもサーモンとは?【おさらい】
言語 | 陸封型(淡水のみの個体) | 降海型(海に降りる個体) |
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日本語 | 鱒・マス | 鮭・サケ(シャケ) |
英語 | Trout(トラウト) | Salmon(サーモン) |
ここから 鮭(サケ)=サーモン という認識が高まりました。
しかし、これだけで種類を単純に分類化できないところに名称の難しさ(=混乱)があります。
近年の科学的知見の発達、例えばDNA(遺伝学的)観点などの採用などで「生物的な分類法」がさらに名称の複雑さを招いています。
この分類法につきましては『高級魚【銀ダラ】が好まれる理由を少し学術的に検証してみます!』でご紹介中ですので、合わせてご参照ください。

現在では『サケ・マス類』に関しては、サケ科だけでも11属66種が分類されています(異論も多くあります)ので名称の複雑さは容易に想像できますね?
② 日本で食用として流通しているサケ・マス類について
このように数多く存在する『サケ・マス類』ですので、次は日本で食用として流通している8種類の『サケ科』に絞って整理してみます。下表の※印は日本で獲れる種類、赤字は商品で見かける名称、写真はぼうすコンニャク様からお借りしました。
標準和名 | 一般的名称・業界用語 | 解説 |
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ホンマス、マス、サツキマス | タイヘイヨウサケ属、最大体長約50cm、ヤマメはサクラマスの、アマゴはサツキマスの陸封型 |
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アオマス、ピンク・サーモン | タイヘイヨウサケ属、最大体長約50cm、アオマスは北海道での呼称、北海道東部オホーツク海沿岸で獲れる、オホーツクサーモンは本種のブランド名 |
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キング・サーモン | タイヘイヨウサケ属、最大体長約150cm、カナダ・アラスカ・ロシアが産地、日本で見かけるキング・サーモンの中にはアトランティック・サーモンでの代用品も! |
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アキザケ・トキシラズ・鮭児 | タイヘイヨウサケ属、最大体長約80cm、日本でサケと言えば本種のこと、朝食・おにぎり・お弁当で多用されている、鮭児は超高級魚で1本が数十万円にも! |
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サッカイ・サーモン | タイヘイヨウサケ属、最大体長約70cm、アラスカ・ロシアが産地、ヒメマスは本種の陸封型 |
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シルバー・サーモン | タイヘイヨウサケ属、最大体長約70cm、チリ・ロシアが産地、宮城県三陸沖での海面養殖が有名 |
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アトランティック・サーモン | タイセイヨウサケ属、最大体長約150cm、日本の生食サーモンの火付け役、ノルディック・サーモンは本種のブランド名 |
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トラウトサーモン、〇〇サーモン | タイヘイヨウサケ属、最大体長約90cm、日本のブランドサーモンの大半を占める、富士山サーモン・海峡サーモンなどは養殖ブランド名 |
この表で分かるように、学術的な名称・一般的な名称・業界で使用される名称・商品としての名称が混然一体となっているところに混乱の大元があります。少しでも知識の整理にお役立ていただけましたら幸いです!

さて、サーモンに関するおさらいはここまでにして、いよいよノルディック・サーモンのご紹介です!
③ ノルディックサーモンとは?
ノルディック・サーモンとは、ノルウェー産のアトランティック・サーモン(タイセイヨウサケ…大西洋の鮭)を海面養殖したブランド名のことです。つまり、学術的には存在しない名称です。
EU非加盟国であるノルウェー王国は、1970(昭和45)年からジャパン・プロジェクト(国策)を立ち上げ、品質に自信のある養殖サーモンを日本限定の輸出品にしようと努力を重ねてきました。
結果的にこの政策は大成功を収め、回転ずし等に見られる今日のサーモンの生食文化が日本に定着したわけです。詳細は『子供から大人まで大好物の【生食用サーモン】をご紹介!』にてご紹介中ですので、合わせてご参照ください。
北欧というすばらしい自然環境の中で、自ら厳しい規定を作り、それを遵守する(例えば、養殖環境から逃げ出したサーモン1匹に対しても罰金が科せられます!)ことで、美味しさはもとより食の安全性にこだわり続けているノルウェー魂が伝わってきますね。
プロジェクトの開始に当たってはアトランティック・サーモンを空輸便にて『生』で輸出してきましたが、さらなる高みを目指して開発したのがノルディック・サーモンです。

つまり、ノルウェー産のサーモン=ノルディック・サーモンではないことがご理解いただけたでしょうか?
かねてつ水産では、この名称による混乱を招かないように、他でよくみかけるノルウェー・サーモンではなく(これでは、ブランド名なのかノルウェー産のみを指しているのかが判別できませんので)、あえてノルディック・サーモンの名称を採用しました。
・ 食の安全性について
今日では回転寿司やスーパーのお総菜売り場で見かけないことがないくらいに一般的になったサーモンの生食ですが、いつも心配されるのがアニサキスなどに代表される寄生虫による食中毒の心配です。
自然界のサーモンは、太平洋や大西洋の区別なくエビやカニなどの甲殻類を餌としています。このことにより「サーモン・ピンク」の身色になるわけですが、この甲殻類にアニサキスが含まれているのです。

ここでトリビア!サーモンの身色はピンクですが、赤身ではなく白身魚なんです!ここで疑問が浮かびます。では、養殖のサーモンも甲殻類が餌なの?そうでしたら当然寄生虫が入り込みますよね?
実は、養殖サーモンのピンク色は甲殻類を含まないエサの中に自然由来で安全性が保障された赤い色素を含ませることによって発色しているわけなんです。
よって、きちんと管理された環境で養殖されたサーモンには基本的に寄生虫は存在しないことになります。これが、日本での生食ブームの火付け役になったわけです。
ただし、何事にも例外はありますので、日本では厚生労働省の推奨として「-20℃以下で24時間以上冷凍させる」ことが原則となっています。
アニサキスは上記の方法または内部温度が60℃で1分以上加熱すれば死滅しますので、知識として覚えておいて損はありませんよ!
よって、ニュースで見かけるアニサキスによる食中毒の原因は、提供した店側によるものとなるわけです。
④ ショップの【ノルティック・サーモン】をご家庭で!
オンラインショップでは、ノルティック・サーモンの西京漬・吟醸粕漬・幽庵漬(照り焼き風味)・生食用を取り揃えております。ただし、ウクライナ情勢により新規入荷の見込みが立っていませんので、在庫がなくなり次第、販売終了となります。

ショップの生食用商品は、厚生労働省の推奨を上回る「-40℃以下(その他のお魚は-30℃以下)で24時間以上冷凍」してから発送しますので、寄生虫による食中毒の心配はありません。ご検討いただけましたら幸いです(^^;;